日本において、魚を乾燥させて保存性を高める干物の歴史は古くからあります。弥生時代には干物を作った形跡があるように、干物は日本人との食生活とは切っても切り離せない重要な食品です。ここでは干物のうち、のどぐろの一夜干しについて美味しい食べ方や保存方法などについて解説します。
一般的に干物は、天日干しと一夜干しの2種類があります。天日干しはしっかりと日に当てて乾燥させているため、よりしっかりとした硬めの食感と味の濃さが特徴です。一方で一夜干しとは風通しの良い日陰や涼しい夜に乾燥させる干物で、天日干しに比べ乾きすぎないため、身に適度な水分が残りふっくらとしているのが特徴です。のどぐろを干物に加工するメリットは大きく分けて2つあります。
のどぐろは干物にすることにより、たんぱく質が分解されてうま味成分であるアミノ酸になります。それに加え、魚は熟成により筋肉中のATPという物質がうま味成分のイノシン酸に変わるので、生の魚よりうま味成分が多いということになります。
また、魚体の水分が減る事で味が凝縮され、うま味をしっかり感じられるようになることもメリットの1つです。さらに塩水に漬けて、魚の繊維に塩の成分が入ることでたんぱく質が変化し、もっちりとした食感になります。元々は保存性を高めるために作られていた干物ですが、実は味についても理にかなっています。
身の水分量が多い魚は、微生物が繁殖しやすく自己消化も早いため腐りやすい食材です。そのため、塩をして一夜干しすることで身の水分量が少なくなるため腐りづらくなります。
ただし、昔に比べると輸送技術や保存技術などが発達し、美味しさを求めた結果塩分を控えた干物が多くなっています。そのため、購入したら必ず冷蔵庫や冷凍庫で保存し、賞味期限内に食べましょう。